補助金

障害年金でもらえる金額の計算方法を解説!受給の要件や請求の流れ

障害年金でもらえる金額の計算方法を解説!受給の要件や請求の流れ

病気や怪我で仕事や生活が制限されて困っているときは、障害年金を受け取れます。

障害年金の金額は加入している年金の種類や障害の等級によって違い、計算が複雑です。

障害年金の金額を計算できるよう、計算方法を解説。

受給の要件や請求の流れも紹介します。

Contents

障害年金の金額は年金の種類や障害の等級によって違う

障害年金で受け取れる金額は、次の条件で決まります。

  • 初診日に加入していた年金制度の種類
  • 障害の等級

初診日に加入していた年金制度と障害の等級に応じて、受け取れる金額が変わります。

障害年金でもらえる金額(年額)は、以下の通りです。

障害の等級 障害基礎年金 障害厚生年金 障害共済年金
1級 ・67歳以下:993,750円
+ 子の加算額
・68歳以上:990,750円
+ 子の加算額
報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(228,700円) 厚生年金相当額+職域加算額
2級 ・67歳以下:795,000円
+ 子の加算額
・68歳以上:792,600円
+ 子の加算額
報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(228,700円)
3級 報酬比例の年金額
※以下の最低保証額あり
・67歳以下:596,300 円
・68歳以上:594,500 円

参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額│日本年金機構
参考:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額│日本年金機構
参考:障害共済年金│国家公務員共済組合連合

自分が加入している年金の種類と障害の等級を元に、受け取れる金額を計算しましょう。

障害年金の金額は初診日に加入していた年金制度の種類で変動する

障害年金の金額は、初診日に加入していた年金制度の種類で変動します。

初診日とは障害の原因となった病気や怪我について、初めて医師等の診療を受けた日です。

転院したときでも、最初に診察を受けたときが初診日になります。

障害年金の種類は、以下の通りです。

初診日に加入していた年金制度 障害年金の種類
国民年金 障害基礎年金
厚生年金 障害厚生年金

以前は共済年金もありましたが、年金の一元化によって厚生年金に統一されました。

平成27年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、これまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されました。

出典:被用者の年金制度の一元化│日本年金機構

障害厚生年金は、障害基礎年金に上乗せされる仕組みです。

障害厚生年金は障害基礎年金に上乗せされる仕組み

国民年金加入者が受け取れるのは、障害基礎年金のみです。

厚生年金加入者は、障害基礎年金に加えて障害厚生年金も受け取れます。

初診日に加入していた年金制度に合わせて、金額を計算しましょう。

初診日が分からないときは初診日の参考となる書類を提出する

初診日が分からないときは、初診日を証明するのに参考となる書類を提出しましょう。

以下の第三者によって証明してもらえれば、初診日を推定できるケースがあります。

  • 友人
  • 隣人
  • 民生委員

日本年金機構の公式サイトには、「初診日に関する第三者からの申立書」の書式が用意されています。

証明してくれる人がいれば、記入してもらいましょう。

障害の等級も障害年金の金額に影響する

障害年金の金額には、障害の等級も影響します。

障害年金の対象となる等級は、以下の通りです。

等級 状況 障害の例
1級 ・他人の介助を受けなければ日常生活がほとんど送れない
・入院や在宅介護を必要とする
・活動の範囲がベッドの周辺に限られる
・両眼の視力が0.03以下である
・両耳の聴力レベルが100デシベル以上である
・手や足に著しい障害がある
・体幹の機能に座っていられない程度の障害がある
2級 ・日常生活を送るのが極めて困難である
・労働によって収入を得られない
・入院や在宅で活動の範囲が病院内または家屋内に限られる
・両眼の視力が0.07以下である
・両耳の聴力レベルが90デシベル以上である
・音声や言語機能に障害がある
・手や足の一部を欠いている
3級 ・労働が著しい制限を受ける
・日常生活に支障がなくても労働には制限がある
・両眼の視力が0.1以下である
・40センチメートル以上では通常の話し声を聞き取れない
・指の一部が機能していない

参考:障害等級表│日本年金機構

1級に分類される人は、日常生活にも支障のある人です。

日常生活にほとんど支障がなく、仕事上で制限を受ける人は、3級に分類されます。

障害の程度が重いほど、障害年金の金額が上がる仕組みです。

自分の障害がどの等級に当てはまるか確認したいときは、「障害等級表」を確認しましょう。

障害年金を受給できるのは等級が3級までの人

障害年金を受給できるのは、以下の人です。

障害年金の種類 障害年金を受給できる等級
障害基礎年金 ・1級
・2級
障害厚生年金 ・1級
・2級
・3級

初診日に国民年金に加入していた人は、等級が1級または2級でないと障害年金を受け取れません。

厚生年金に加入していた人は、3級でも障害年金を受け取れます。

ただし障害基礎年金は3級に対応していないため、受給できるのは報酬比例の年金のみです。

障害等級3級なら、1級や2級ほどの金額は支給されません。

障害基礎年金が受け取れない分、金額がかなり低くなります。

受け取れる金額が低くても生活を送る上で役立つので、厚生年金に加入していた人はぜひ申請しましょう。

障害者手帳の等級が4級でも障害年金を受けられるケースもある

障害者手帳の等級が4級以上でも、状況によっては障害年金を受けられます。

障害者手帳の等級と障害年金の等級は、一致しません。

異なる法律に従って等級が判断され、審査基準が異なります。

種類 従っている法律 等級
障害者手帳の等級 身体障害者福祉法 1~6級
障害年金の等級 ・国民年金法
・厚生年金法
1~3級

同じ障害を持っていても、障害の等級が違うケースもあります。

人工肛門を装着していると、障害者手帳の等級は通常4級です。

障害年金では、3級に分類される例が多くあります。

医師の診断を元に障害認定を受けていれば、障害者手帳の等級に関わらず障害年金が受給できる可能性も。

障害年金を受給したい人は、障害年金の等級を元に申し込めるか判断しましょう。

精神疾患も障害年金支給の対象となる

身体障害のみではなく、精神疾患も障害年金支給の対象です。

日本年金機構は、精神疾患の人も障害年金を受給できるよう「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を作成しています。

ガイドラインでは、以下の点を考慮して診断を行う仕組みです。

考慮すべき要素 考慮すべき内容
現在の病状や状態 ・日常生活に援助は必要か
・ひきこもりによる生活への影響があるか
・不適応行動を伴っているか
療養状況 ・入院は必要か
・治療頻度はどの程度か
・在宅での療養状況はどうか
生活環境 ・家族の援助や福祉サービスの利用が必要か
・単身で生活できそうか
就労状況 ・労働に援助や配慮は必要か
・他の従業員と意思疎通できているか
・就労の影響で日常生活能力が低下していないか

考慮すべき要素もふまえながら、目安のみではとらえられない障害ごとの特性にも目を向けて判断します。

総合的に判断して障害年金を支給するか決定する仕組みです。

日常生活や仕事に影響が出ている状態なら、医師の診断を受けて障害年金を申請しましょう。

障害基礎年金でもらえる金額は定額で年度ごとに見直される

障害基礎年金でもらえる金額は、年度ごとに見直される仕組みです。

もらえる金額は定額で、以下の要素が金額に影響します。

  • 障害の等級
  • 年齢
  • 子どもの人数

障害の等級が1級の人は、2級の人より支給額が多いです。

同じ等級でも、年齢によってもらえる金額に差があります。

障害基礎年金では子どもがいる人に加算がある仕組みです。

国民年金の加入期間や収入額は、金額に影響しません。

支給額を確認したいときは、日本年金機構の公式サイトで金額を確認できます。

年度ごとに金額が見直されるため、支給を受ける人は毎年支給額を確認しましょう。

令和5年度(2023年度)の障害基礎年金の金額を確認

令和5年度(2023年度)の障害基礎年金の金額は、以下の通りです。

障害の等級 年齢 支給額(年額) 支給額(月額)
1級 67歳以下(昭和31年4月2日以後生まれ)の人 993,750円 82,800円程度
68歳以上(昭和31年4月1日以前生まれ)の人 990,750円 82,600円程度
2級 67歳以下(昭和31年4月2日以後生まれ)の人 795,000円 66,300円程度
68歳以上(昭和31年4月1日以前生まれ)の人 792,600円 66,100円程度

68歳以上の人と比較すると、67歳以下の人の支給額がやや多くなっています。

支給額は年額で、月額に直すと1級の人で8万2,000円程度、2級の人で6万6,000円程度の支給が受けられます。

過去の障害基礎年金支給額と比較

障害基礎年金の支給額を過去の金額と比較した結果は、以下の通りです。

年度 等級 支給額
令和3年 1級 976,125円
2級 780,900円
令和4年 1級 972,250 円
2級 777,800 円
令和5年 1級 993,750円
2級 795,000円

情勢に合わせて支給額が変動しています。

障害年金を受給するなら、毎年支給額を確認しましょう。

子どもがいると加算の対象になる

子どもがいる人は、以下の金額が加算されます。

子どもの人数 加算額
2人まで 1人につき228,700円
3人目以降 1人につき76,200円

子どもが3人いる人の加算額は、以下の通りです。

228,700円×2+76,200円=533,600円

障害年金で言う子どもとは、以下のいずれかに当てはまる人です。

  • 18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの子ども
  • 20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子ども

障害年金の受給者が生計を維持している子どもに対して、支給額を加算します。

障害のない子どもは、18歳になって最初の3月31日を迎えるまでが加算の対象です。

障害がある子どもは、20歳まで対象となります。

対象の子どもがいる人は、加算額を加えて計算しましょう。

障害厚生年金の金額は報酬比例部分を元に計算する

障害厚生年金の金額を算出するには、以下3つの要素が関係します。

要素 内容
報酬比例部分 ・厚生年金加入者が障害基礎年金に加えて受け取れる年金
・決められた式によって算出
・厚生年金加入期間の報酬月額と加入期間を元に計算
平均標準報酬月額 ・各月の標準報酬月額総額を平成15年3月以前の加入期間で割った金額
・受け取っている総支給額を1~32の等級に分けて表しているもの
平均標準報酬額 各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を平成15年4月以降の加入期間で割った金額

比例報酬微分とは、厚生年金加入者が障害基礎年金に加えて受け取れる年金です。

国民年金加入者が受け取れる障害基礎年金は定額で、障害厚生年金は報酬月額と加入期間を元に算出された金額が支給されます。

報酬月額とは、以下のものを含めた1ヶ月の総支給額です。

  • 基本給
  • 役付手当
  • 通勤手当
  • 残業手当

計算に使用する報酬月額には、平均標準報酬月額と平均標準報酬額の2種類があります。

平均標準報酬月額は、受け取っている総支給額を1~32の等級に分けて表しているものです。

分けられた等級に応じて、保険料が計算される仕組みです。

平均標準報酬額には、ボーナスも含まれています。

報酬比例部分を求める計算式

報酬比例部分は以下の式を用いて算出します。

A.平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月以前の加入期間

B.平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以前の加入期間

報酬比例部分=A+B

報酬比例の年金額が出たら、以下の式に当てはめて年金受給額を計算します。

障害等級 障害年金受給額の計算方法
1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(228,700円)
2級 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(228,700円)
3級 報酬比例の年金額
※以下の最低保証額あり
・67歳以下:596,300円
・68歳以上:594,500円

3級で受け取れるのは、報酬比例の年金額のみです。

最低保証額があるので、報酬比例の年金額が低くても596,300 円は受け取れます。

障害等級に合わせて、計算しましょう。

65歳以下の配偶者がいれば配偶者加算もある

配偶者がいる人には、配偶者加算もあります。

配偶者加算が受けられる条件は、以下の通りです。

  • 配偶者が65歳未満である
  • 障害年金の受給者が配偶者の生計を維持している

年齢と生計維持者の条件を満たしていれば、年額228,700円加算される仕組みです。

加算対象となる配偶者がいる人は、配偶者加算も加えて支給額を計算しましょう。

年金制度基礎調査結果からみる障害年金月額の分布

障害年金月額の分布は、以下の通りです。

障害等級 年金の種類 ~10万円 10万円~20万円 20万円~30万円 30万円~
1級 障害基礎年金 99.3% 0.8%
障害厚生年金 0.5% 87.7% 11.7% 0.0%
2級 障害基礎年金 98.7% 1.2%
障害厚生年金 32.1% 67.4% 0.4%
3級 障害基礎年金
障害厚生年金 97.9% 2.0%

参考:年金制度基礎調査│e-Stat

障害基礎年金の受給月額は、10万円まで(年額120万円まで)の例が多い傾向です。

障害厚生年金では、10万円~20万円(年額120万円~240万円)程度受給している人が多くいました。

大まかなイメージを掴みたい人は、「年金制度基礎調査」の結果も参考にしましょう。

障害等級1級の受給金額をシミュレーション

以下の人を例に、障害等級1級の受給金額をシミュレーションしました。

  • 48歳男性
  • 配偶者あり(45歳)
  • 子ども1人(16歳)
  • 平成15年3月以前の加入期間は60ヶ月で平均給与は35万円
  • 平成15年3月以降の加入期間は216ヶ月で平均給与は40万円

障害厚生年金の計算式は、以下の通りです。

A.35万円×7.125/1000×60ヶ月=149,625円

B.40万円×5.481/1000×216ヶ月=473,558円

報酬比例部分=623,183円

623,183円×1.25+228,700円(配偶者の加算額)=1,007,679円

上記の金額に、障害基礎年金額993,750円と子どもの加算額228,700円を加えます。

受け取れる金額は、2,230,129円です。

障害等級2級の受給金額をシミュレーション

以下の人を例に、障害等級2級の受給金額をシミュレーションしました。

  • 54歳男性
  • 配偶者あり(54歳)
  • 18歳未満の子どもなし
  • 平成15年3月以前の加入期間は132ヶ月で平均給与は38万円
  • 平成15年3月以降の加入期間は216ヶ月で平均給与は42万円

障害厚生年金の計算式は、以下の通りです。

A.38万円×7.125/1000×132ヶ月=357,390円

B.42万円×5.481/1000×216ヶ月=497,236円

報酬比例部分=854,626円

854,626円+228,700円(配偶者の加算額)=1,083,326円

上記の金額に、障害基礎年金額795,000円を加えます。

受け取れる金額は、1,878,326円です。

障害等級3級の受給金額をシミュレーション

以下の人を例に、障害等級3級の受給金額をシミュレーションしました。

  • 45歳男性
  • 配偶者なし
  • 平成15年3月以前の加入期間は30ヶ月で平均給与は30万円
  • 平成15年3月以降の加入期間は216ヶ月で平均給与は35万円

障害厚生年金の計算式は、以下の通りです。

A.30万円×7.125/1000×30ヶ月=64,125円

B.35万円×5.481/1000×216ヶ月=414,363円

報酬比例部分=478,488円

報酬比例部分は478,488円です。

障害等級3級の人には障害基礎年金がなく、加算はありません。

障害等級3級には、以下の最低保証額があります。

  • 67歳以下:596,300 円
  • 68歳以上:594,500 円

報酬比例部分が最低保証額よりも少ないため、受給できる金額は596,300 円です。

障害年金とは障害の状態になったときに生活を支える社会保障制度

障害年金とは、障害の状態になったときに生活を支える目的で導入されている、社会保障制度です。

現役世代も含めて受け取れる年金で、20歳以上65歳未満の人が申請できます。

請求書の提出ができるのは、65歳の誕生日前々日までです。

障害年金の申請書を提出するには、障害認定日を待たなければいけません。

障害認定日とは、初診日から1年6ヶ月経過した日です。

障害認定日が設けられているのは、病気や怪我が治るケースもあるため。

時間をかけて判断しなければ、治癒するか障害となって残るか判断できません。

障害認定日まで待って、申請書を提出しましょう。

症状が固定していれば1年6ヶ月待たなくて済むケースもある

症状が固定した人は、1年6ヶ月待たずに障害年金を申請できます。

症状 障害認定日
人工透析を受け始めた 人工透析開始から3ヶ月経過した日
人工骨頭または人工関節のそう入置換 そう入置換下当日
・心臓ペースメーカーを装着
・植え込み型除細動器を装着
・人工弁を装着
装着した日
・人工肛門の造設
・尿路変更術の施術
造設または手術日から6ヶ月経過した日
新膀胱を造設 造設した日
切断または離断による肢体の障害 切断または離断した日
喉頭全摘出 全摘出した日
在宅酸素療法 在宅酸素療法を開始した日

上記に当てはまる人は、申請できるタイミングになったら申請書を提出しましょう。

障害年金には原則所得制限がない

障害年金には、原則所得制限がありません。

障害年金は、原則年金に加入している人向けの制度です。

実際に仕事をしながら障害年金を受給している人もいます。

障害等級 年金の種類 仕事あり 仕事なし 不明
1級 障害基礎年金 22.4% 76.0% 1.5%
障害厚生年金 13.5% 85.6% 0.9%
2級 障害基礎年金 40.3% 57.6% 2.1%
障害厚生年金 29.6% 69.3% 1.1%
3級 障害基礎年金
障害厚生年金 58.6% 40.7% 0.7%

参考:年金制度基礎調査│e-Stat

家族の収入も、考慮されません。

ただし以下の人は、支給制限があります。

  • 20歳前の傷病によって障害基礎年金を受給する人
  • 恩給や労災保険の年金を受給している人

条件に当てはまる人は、支給制限について知った上で障害年金を申請しましょう。

20歳前の傷病による障害基礎年金には支給制限がある

20歳前の傷病による障害基礎年金には、支給制限が設けられています。

支給制限があるのは、年金の支払い義務がないためです。

支給制限の内容は、以下の通りです。

前年度の年収 支給制限の内容
4,721,000円超 年金の全額が支給停止
3,704,000円超 年金の2分の1が支給停止

扶養親族がいるときは、所得制限が38万円加算されます。

支給停止期間は10月から翌年9月までで、収入が減れば再び障害年金の受給も可能です。

20歳前の傷病で障害年金を受けている人は、支給制限について知っておきましょう。

恩給や労災保険の年金を受給していると年金額から調整される

恩給や労災保険の年金を受給している人は、障害基礎年金額から調整されます。

恩給や労災保険の年金で受け取っている金額分、障害基礎年金で支給される金額が減る仕組みです。

以下のときは、届出をしましょう。

  • 恩給や労災保険の年金の受給が決まったとき
  • 恩給や労災保険の年金額が変わったとき

支給を受けるには障害年金がもらえる条件3つを満たす必要がある

障害年金を受給するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

ポイント 要件
障害の原因となった病気や怪我の初診日 以下のいずれかの期間内に初診日がある
・年金加入期間内
・20歳前で年金制度に加入していない期間
・日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
障害の状態 以下のいずれかの日に障害等級表で定める1級または2級に該当(障害厚生年金は3級まで)
・障害認定日
・障害認定日が20歳以前の人は20歳に達した日
年金の保険料納付済期間 保険料免除期間も含めて3分の2以上納付している

障害の原因となった病気や怪我の初診日が、年金加入期間内になければいけません。

例外は20歳になる前に病気や怪我で障害の状態になったときです。

以前、年金制度が強制ではかった時期があります。

60歳以上65歳未満で、年金制度に加入していない期間に初診日があった人も、受給を認められます。

障害等級が1級または2級(厚生年金加入者は3級まで)に該当するのも、条件の1つです。

保険料免除期間も含めて、保険料を3分の2以上納付している必要もあります。

条件を確認して、当てはまっている人は障害年金を申請しましょう。

障害年金をもらえない人の特徴3つ

障害年金をもらえない人の特徴は、以下の3つです。

  • 生活保護を受けている
  • 20歳前から障害があり障害等級3級に該当する
  • 年金の保険料に未払いがある

生活保護を受けている人が障害年金を受け取ると、収入として扱われます。

受け取った金額分生活保護費が差し引かれるため、実質もらった扱いになりません。

障害年金があれば生活保護から抜け出せる目途が立つ人なら、障害年金を受給する意味はあります。

生活保護は世帯の状況によって加算も可能です。

障害者と認定されれば、住んでいる地域と障害の等級に応じて、15,380円~26,810円の加算が受けられます。

収入や障害の状況を見て、生活保護で加算を受けるか障害年金を受給するか決めましょう。

20歳前から障害があっても、障害等級が3級に該当すれば障害年金は受けられません。

障害基礎年金は3級に対応していないためです。

例外は20歳以前から働いていて、厚生年金に加入しているケースです。

厚生年金に加入していれば、障害厚生年金で支給が受けられる可能性もあります。

障害年金は、保険料免除期間も含めて3分の2以上年金を納付している人が支給の対象です。

未納期間が多い人は、障害年金を受け取れません。

支給の要件を確認した上で、申し込みましょう。

老齢年金と違って障害年金には税金がかからない

障害年金には、以下の税金がかかりません。

  • 所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税

老齢年金は課税の対象で、雑所得として課税されます。

税金は年金の支払時に源泉徴収される仕組みです。

障害年金は非課税で、支給された金額すべてを受け取れます。

障害年金が非課税だと、受給を会社に知られる心配もありません。

年末調整にも記入する欄はなく、自分で言わない限り内緒にできます。

会社に知られたくない人でも、障害年金を受給しやすいです。

年末調整には、障害者控除に該当するか記載する欄が設けられています。

障害者控除の対象となるか確認が目的で、障害年金とは無関係です。

税金や税金がもとで会社に障害年金の受給を知られるのが不安な人も、心配せずに申請しましょう。

老齢基礎年金と比較して高額になる可能性が高い

老齢基礎年金と比較すると、障害基礎年金の方が高額になる可能性は高いです。

高齢者が障害年金を受給する際、老齢基礎年金とどちらを受給するか選ばなければいけません。

老齢基礎年金の満額は、以下の通りです。

老齢基礎年金の金額 月額 年額
67歳以下 66,250円 795,000円
68歳以上 66,050円 792,600円

障害基礎年金の金額と比較しましょう。

障害の等級 年齢 月額 年額
1級 67歳以下(昭和31年4月2日以後生まれ)の人 82,800円程度 993,750円
68歳以上(昭和31年4月1日以前生まれ)の人 82,600円程度 990,750円
2級 67歳以下(昭和31年4月2日以後生まれ)の人 66,300円程度 795,000円
68歳以上(昭和31年4月1日以前生まれ)の人 66,100円程度 792,600円

障害の等級が2級なら、老齢基礎年金の満額と同程度です。

障害の等級が1級なら、障害基礎年金の支給額が高くなります。

老齢基礎年金には税金もかかるため、国民年金加入者は障害年金を選びましょう。

厚生年金加入者は試算して決める

厚生年金加入者は、老齢年金と障害年金のどちらを選ぶか、試算して決めましょう。

厚生年金の支給額には加入期間や報酬月額が関係するため、どちらがお得かは計算しなければ分かりません。

実際に計算した上で、どちらを受給するか判断しましょう。

障害厚生年金に該当するより軽い障害が残ったときは障害手当金が受け取れる

障害厚生年金に該当する1~3級より軽い障害が残ったときには、障害手当金が受け取れます。

障害手当金は一時金として支給される仕組みです。

受け取れる金額は、以下の通り。

支給額 報酬比例額の年金額×2
最低保証額 1,192,600円
※昭和31年4月1日以前に生まれた人は1,189,000円

受け取れるのは、報酬比例額の年額を2倍にした金額です。

最低保証額が設けられていて、少なくとも1,192,600円は受け取れます。

障害手当金は、継続して受け取れるお金ではありません。

障害手当金を受け取れるのは、厚生年金加入者です。

国民年金の人は、対象になりません。

通常の障害厚生年金申請の手続きをしたときに、1級~3級に該当しないと判断されれば、一時金として障害手当金が支給されます。

通常通り申請手続きをしましょう。

障害年金を受給するデメリット2つ

障害年金を受給するデメリットは、以下の2つです。

  • 国民年金保険料の支払い免除を受けると将来の年金額が減る
  • 受給額が180万円を超えると社会保険の扶養から外れる

障害年金を受給中は、国民年金保険料の支払い免除が受けられます。

支払い免除を受けると生活に余裕はできますが、将来的に受け取れる年金額は減る仕組みです。

障害年金の受給額が180万円を超えると、社会保険の扶養から外れます。

もともと社会保険料を自分で払っていた人には、影響がありません。

社会保険の扶養に入っていた人は、影響がある可能性を知って障害年金を申請しましょう。

国民年金保険料の支払いの免除を受けると将来の年金額が減る

障害基礎年金の2級以上を受けていると、国民年金保険料の支払い免除が可能です。

認定された日を含む月の前月の保険料から、免除を受けられます。

免除を受けていた期間の老齢年金額は、全額納付したときと比べて2分の1で計算される仕組みです。

免除を受けたいときは、市区町村役場に「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出しましょう。

将来的に障害年金を受け続けられる人は、免除してもらうと生活に余裕が出ます。

障害の改善により障害年金が停止される可能性のある人は、追納も可能です。

追納とは、国民年金保険料の後払いを言います。

追納すれば老齢年金は満額請求されるため、障害年金が停止される可能性のあるときは追納しましょう。

受給額が180万円以上になると社会保険の扶養から外れる

障害保険を受けている人が以下の状態になると、社会保険の扶養から外れます。

  • 障害年金の受給額が180万円以上になる
  • 障害年金の受給額と仕事による収入の合計が180万円以上になる

通常であれば社会保険扶養から外れる収入額は、130万円以上です。

障害年金を受給している人は、180万円未満なら扶養から外れません。

社会保険の扶養から外れた人は、自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。

障害基礎年金の最低保証額は、596,300円(月額49,7000円程度)です。

保険料の種類 月額
国民年金の保険料 16,520円
国民健康保険料
※年収180万円のときの予想額
25,000円程度

参考:国民年金保険料│日本年金機構
参考:令和3年度 国民健康保険料 概算早見表│新宿区

月額の合計は42,000円程度と予想できます。

社会保険の扶養から外れたとしても、障害年金の金額が上回る可能性は高いです。

受け取れる金額が不安なときは、試算をしてから受給を決めましょう。

障害年金を申請する流れと必要書類

障害年金を申請する流れは、以下の通りです。

  1. 障害年金の手続きについて事前に相談する
  2. 必要書類を揃えて年金事務所に提出する
  3. 日本年金機構で確認が実施される
  4. 通知書送付から2ヶ月程度すれば支給が始まる

障害年金の手続きは複雑なため、事前に相談してから申請しましょう。

障害年金を申請するには、必要書類も揃える必要があります。

必要書類に記載する内容も煩雑なので、確認しておくと記入しやすいです。

必要書類を揃えて提出したら、日本年金機構で確認を実施。

結果が出れば通知書が届きます。

通知書が届いたら、支給が始まる流れです。

スムーズに手続きを進められるよう、申請前に流れを確認しましょう。

障害年金の手続きについて事前に相談する

障害年金を受給したいときは、手続きについて事前に相談しましょう。

相談は、以下の場所で受け付けています。

  • 年金事務所
  • 年金相談センター

年金事務所や年金相談センターの場所は、日本年金機構の公式サイト「全国の相談・手続き窓口」で確認可能です。

障害年金の請求手続きをしたい人は、予約相談を利用できます。

予約相談を利用すると、相談内容に合ったスタッフが事前に準備した上で対応してくれるため、スムーズです。

予約相談の実施時間帯は、以下の通り。

曜日 実施時間帯
月~金曜日 8:30~16:00相談開始
土曜開所日 9:30~15:00相談開始
延長開所日 8:30~18:00相談開始

※一部窓口では土曜開所または延長開所非対応

相談予約は予約専用電話で受け付けています。

予約受付専用電話 0570-05-4890
050で始まる電話からかけるとき 03-6631-7521

電話受付時間は、平日8:30~17:15です。

インターネット予約は老齢年金の相談のみに対応可能で、障害年金の相談申し込みはできません。

電話予約するときは、基礎年金番号の分かるものを用意しましょう。

  • 基礎年金番号通知書
  • 年金手帳
  • 年金証書

必要書類を揃えたら年金事務所に提出する

障害年金の受給を決めたら、年金事務所または年金相談センターの窓口に備え付けてある「年金請求書」を用意しましょう。

日本年金機構公式サイトの「障害基礎年金を請求するとき」を確認すると、動画による書き方のポイント説明もあります。

書き方のポイントを知りたい人は、動画も活用しましょう。

年金請求書と合わせて、以下の書類も必要です。

必要書類 確認事項
以下のいずれか
・基礎年金番号通知書
・年金手帳
・基礎年金番号を明らかにできる書類を提出する
・書類を元に加入期間を確認する
以下のいずれか
・戸籍謄本
・戸籍抄本
・戸籍の記載事項証明
・住民票
・住民票の記載事項証明書
・申請者の生年月日を確認する
・マイナンバーを登録している人は不要になるケースもある
医師の診断書 ・所定の様式がある
・障害認定日より3ヶ月以内の物を提出する
・レントゲンフィルムや心電図のコピーが必要な人もいる
受診状況等証明書 ・所定の様式がある
・初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なるときに初診日を確認する
病歴・就労状況等申立書 ・所定の様式がある
・障害状態を確認するための補足資料として提出する
受取先金融機関の通帳 ・本人名義のものを用意する
・キャッシュカードでも対応できる

必要書類が多いので、漏れなく用意して提出しましょう。

日本年金機構で確認が実施され3ヶ月程度で結果が分かる

必要書類を揃えて提出したら、日本年金機構で確認が実施されます。

日本年金機構で確認されているのは、以下の内容です。

  • 初診日がはっきりしているか
  • 年金の保険料を支払っているか
  • 障害の状態にあるか
  • 障害の状態にあるなら何級に該当するか

障害年金の支給を受けるには、以下の要件を満たしていなければいけません。

  • 障害の原因となった病気や怪我の初診日が指定の期間内にある
  • 年金の保険料納付済期間内に3分の2以上納付している
  • 障害等級が1級~3級である

要件を満たしているとみなされれば、障害年金の支給を受けられます。

支給が決定されると「年金決定通知書」が届くので、結果が出るまで待ちましょう。

通知書送付から2ヶ月程度すれば支給が始まる

「年金決定通知書」の送付から1~2ヶ月程度すると、障害年金の支給が始まります。

障害年金は、偶数月の15日に2ヶ月分振り込まれるルールです。

以下のときは直前の営業日に振り込まれます。

  • 土曜日
  • 日曜日
  • 休日

初回振込日は「年金決定通知書」に記載されているので、確認しましょう。

障害年金は、障害認定日の翌月分から支給を受けられます。

障害基礎年金お手続きガイド

参考:障害基礎年金お手続きガイド│厚生労働省

障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日の翌月分から障害年金の受給が可能です。

初回振込日に受け取れる金額は、受取開始年月から受取日の前月分までです。

障害年金の申請書は、障害認定日以降いつでも提出できます。

提出が遅くなっても、5年分までさかのぼって年金の受給が可能です。

害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から年金を受給できます。

なお、請求書は障害認定日以降、いつでも請求できますが、遡及して受けられる年金は、時効により、5年分が限度です。

出典:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額│日本年金機構

過去分も含めて、「年金決定通知書」の送付から1~2ヶ月程度すれば年金が振り込まれます。

手続きを済ませて、支給を待ちましょう。

障害が重くなったら後から障害年金の請求もできる

障害認定日には障害等級1級~3級に該当しなくても、後で障害が重くなれば障害年金を請求できます。

障害認定日を過ぎてから障害等級1級~3級に該当した時点で、年金を請求する権利が発生する仕組みです。

事後重症でも、障害の原因となった病気や怪我で最初に医療機関に訪れた日が初診日になります。

障害が重くなってから年金を請求する「事後重症」では、さかのぼっての支給が受けられません。

後から障害が重くなったときは、請求した日の翌月分から年金の受け取りが可能です。

障害年金の請求は、65歳の誕生日前々日までに行わなければいけません。

請求が遅くなると年金の受給開始時期も遅くなるため、早めに申請書を提出しましょう。

障害年金を受けていると定期的に障害の状況を確認される

障害年金を受けている人は、定期的に障害の状況を確認されます。

障害年金は、一度認定されたからといって一生受けられるものではありません。

障害の状態によって、1年~5年ごとに日本年金機構から「障害状態確認届」が送付されます。

「障害状態確認届」は、引き続き障害年金を受ける権利があるか、障害の状態を確認する目的の書類です。

障害状態確認届が届いたら、診断書欄を医師に記載してもらいましょう。

記入してもらった書類は、提出期限(誕生月の末日)までに到着するよう日本年金機構に提出しなければいけません。

障害の程度が軽くなり年金を受けられる障害等級に該当しなければ、年金は支給停止となります。

障害年金が支給停止になったときは「障害給付受給権者 障害不該当届」を提出しましょう。

-補助金